【事業承継の最新動向】中小企業の「稼ぐ力」を次世代へ ― 事業承継税制(特例措置)の評価と今後の方向性
お知らせ
2026.01.21
中小企業は、地域社会の雇用と経済を支える中核的な存在です。
長引いたデフレから完全に脱却し、国内需要だけでなく**外貨を含む域外需要を取り込む「稼ぐ力」**を高めていくことが、今まさに求められています。
こうした中で注目されているのが、
事業承継を「単なる世代交代」ではなく、「成長と変革のチャンス」として捉える視点です。
本記事では、事業承継を巡る現状を整理したうえで、
事業承継税制(特例措置)の評価と課題、今後の検討方向について解説します。
1. 事業承継を取り巻く現状 ― 後継者不在が深刻化
近年、中小企業の休廃業・解散は増加傾向にあります。
特に問題視されているのが、廃業予定企業の約3割が「後継者不在」を理由としている点です。
本来であれば、
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技術
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顧客基盤
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人材
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地域で培われた信頼
といった貴重な経営資源を次世代へ引き継げるにもかかわらず、
承継の壁によって事業継続を断念せざるを得ないケースが多いのが実態です。
一方で、近年は
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M&A
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内部昇格(従業員承継)
といった手法の割合も高まっています。
それでもなお、親族内承継は全体の約3割を占めており、
経営者アンケートからも「親族承継へのニーズは依然として高い」状況が続いています。
▶ 参考(経済産業省)
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/shinzoku/report/20251212report_01.pdf
2. 事業承継税制(特例措置)の概要とこれまでの評価
■ 特例措置創設の背景
平成30年度税制改正では、
団塊の世代の経営者交代を円滑に進めるため、
10年間の時限措置として「事業承継税制(特例措置)」が創設されました。
この特例により、
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猶予対象株式数の制限撤廃
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相続税・贈与税の納税猶予割合を 80% → 100% に引き上げ
といった、制度の大幅な拡充が実現しました。
■ 特例措置の成果
特例措置の導入以降、
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承継計画の申請件数は大幅に増加
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一般措置と比べ、利用件数は格段に伸長
といった成果が確認されています。
また、制度活用企業では、
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事業承継前から高水準の賃上げを継続
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承継後も売上高の増加を維持
といったポジティブな効果が見られ、
最大約27万人分の雇用維持につながる可能性や、
マクロ経済へのプラス効果も評価されています。
3. 利用が進まない理由 ― 見えてきた課題
一方で、潜在的な活用対象と比較すると、
実際の利用企業は約25~33%にとどまっているのが現状です。
利用を躊躇する主な理由として、次の声が挙げられています。
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「適用期限までに承継を完了できるか不安」
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「提出書類や手続きが煩雑」
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「将来、納税猶予が取り消されるリスクがある」
特に、納税猶予方式が長期間にわたることによる不確実性は、
経営者にとって大きな心理的ハードルとなっています。
さらに、
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成長投資
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DX・デジタル投資
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賃上げ原資の確保
に使うべき会社資産を、
株価引下げ(節税対策)に振り向けてしまう誘因が生じているとの指摘もあり、
本来望ましい企業行動を阻害している可能性が課題として挙げられています。
4. 今後の検討の方向性 ― 制度はどう変わるのか
【税制面での検討】
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現行の「納税猶予」に加え、
評価減制度の導入や「10年事業継続で免除」といった仕組みの検討 -
雇用要件に加え、
賃上げや企業成長への取り組みを評価する視点の追加 -
海外子会社株式を税制対象とすることの検討
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報告・申請手続きの簡素化
【後継者育成の強化】
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「アトツギ甲子園」の継続・拡充
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承継前から経営者目線で考え、
実行できる 実践的な財務・会計・事業計画プログラムの提供 -
後継者同士やスタートアップとの
異業種・異分野交流の場の創出
これらは、単なる税制優遇ではなく、
**「事業承継 × DX × 経理・業務効率化」**を通じた
企業の競争力強化を狙った方向性といえます。
5. 事業承継を成功させるための実務視点
今後の事業承継では、
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財務・会計の見える化
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経理業務の効率化・デジタル化
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中長期の事業計画と成長戦略の整理
が、これまで以上に重要になります。
DXによって数字をタイムリーに把握できる経営体制を整えることが、
後継者にとっても金融機関にとっても、
「引き継ぎやすい会社」をつくる土台になります。
6. まとめ ― 事業承継は「企業変革のスタートライン」
事業承継は、
単なる経営者交代ではなく、
経営の若返りと成長投資を同時に進める絶好の機会です。
今後の制度見直しは、
**特例措置の計画申請期限(2026年3月31日)**を見据えながら進められる予定です。
中小企業の円滑な事業承継は、
個々の企業だけでなく、日本経済全体にとっての重要課題です。
政策支援を最大限活かすためにも、
早めの情報収集と準備が求められます。
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